書籍
本著『ネット・プロモーター経営』は、2011年に米国で出版された『The Ultimate Question 2.0』(ハーバード・ビジネス・レビュー・プレス)を元に、日本企業が陥りやすい課題や改善のアプローチについての見解と、顧客ロイヤルティ強化で成功している日本企業の事例を加えて、日本版として刊行したものです。
デフレで物が売れないと言われて久しい状況において、昨今のSNSの隆盛の中で口コミの威力はその重要さを増しつつあり、これまでの延長線上にない顧客志向の実現が重要になってきております。8割の企業が、自社は顧客によいサービスが提供できていると信じている一方、実際に顧客からよいサービスとの評価を受けている企業はわずか8%という調査結果があります。また、実際に顧客からの評価が高い企業は、そうではない企業と比較して約2倍の利益成長率を実現しているということもわかっています。
そのような状況の中、「われわれの商品・サービスを友人や同僚に薦めていただける可能性はどのくらいありますか?」というシンプルかつ究極の質問で測定するネット・プロモーター・スコア(NPS®)は、顧客ロイヤルティを測る新たな指標として注目を集めており、全世界の優良企業千社以上で既に採用・導入されています。本著では、NPSを活用することによって、クレーム処理だけではなく「感動体験」の提供による真の顧客価値向上を成し遂げ、業績成長を実現するための取組みについて、世界有数の企業の事例をあげながら解説しております。
顧客ロイヤルティ測定指標(スコア)として導入されることの多いNPSですが、NPSは単に顧客満足度を測定するものではなく、CEOや取締役から、あらゆる部門で顧客と直接接点のある従業員までが、顧客ロイヤルティを獲得し利益ある成長を実現していくことに組織的に取り組むためのシステムといえます。本著では、数々の事例を挙げながら、ネット・プロモーター・システムの活用方法と成功のカギについて述べています。