書籍
持続的成長のカギは、新しいものへの挑戦ではなく、過去の成功パターンを再現することにある!
「どこで戦うか」より、「どう勝つか」
本著『リピータビリティ』は、2012年に米国で出版された『Repeatability』(ハーバード・ビジネス・レビュー・プレス)を元に、日本の事例や日本企業にとっての意味合いを加え、日本版として刊行したものです。原著でも取り上げられているナイキ、イケア、アップル、レゴ等の数十社の事例と、日本版向けに加えたアシックス、しまむら、YKKなどの事例を挙げながら、企業が持続的に成長し続けるカギについて述べています。
企業を取り巻く環境の急速な変化と複雑化、先行きの見えない不確実な状況により、持続的な収益成長と企業価値向上を実現することはますます困難になっています。ビジネスにおける戦略の性質そのものが根本的に変わりつつある中、コスト削減や営業・マーケティングの改善、企業買収などといった個別の応急処置的、対処療法的な打ち手だけでは閉塞感を打ち破るにはいたらず、まさに今、現状を打破するための骨太のアプローチが求められています。
ベイン・アンド・カンパニーでは、世界12カ国、約2000社を対象に行った調査と25年にわたる研究から「再現可能な不朽のビジネスモデル」の3原則を導き出して、本著にまとめました。これは、過去をすべて捨てて新しいものにチャレンジするのではなく、自社が差別化できる、競争力のあるものをコアとする戦略を構築し(Focus)、それを組織の末端まで浸透させつつ(Embed)、現場や顧客からのフィードバックに基づいて継続的に発展・適応させる(Adapt)といった、単純ゆえに有効で持続可能なものです。また、「複雑化は成長戦略のサイレントキラー」として、組織や施策、経営の複雑化の弊害を指摘し、継続的に高業績を達成している企業がいかにしてコア事業の単純さを維持しているかを説明しています。こうした「再現可能な不朽のビジネスモデル」は、持続的成長を遂げる複数の日本企業にも実際にみられます。「創業者の目線」で企業の差別化を深く考え抜くことが、複雑化の抑制と「再現可能な不朽のビジネスモデル」の確立・発展の要諦として強調されています。