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自社の得意技生かす ~社員のヤル気・成長を刺激/社会貢献「プロボノ」企業に浸透~

自社の得意技生かす ~社員のヤル気・成長を刺激/社会貢献「プロボノ」企業に浸透~

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自社の得意技生かす ~社員のヤル気・成長を刺激/社会貢献「プロボノ」企業に浸透~
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近年、社会の問題を解決するための活動が盛り上がりを見せています。内閣府によると、NPO法人(特定非営利活動法人)の数は年々増加し、2015年3月時点で5万団体に達しました。意欲と新しいアイデアで震災復興や貧困といった問題解決に取り組みたいと考える人が増えていることが背景にあると思われます。

このような非営利活動に対して、企業が自社の業務上の能力を生かして自ら取り組んだり、無償でサポートしたりする「プロボノ」と呼ばれる活動が浸透しています。「プロボノ」とは「公共善のために」を意味するラテン語を語源とする言葉です。これまでも清掃や植林など、企業が地域に対して奉仕活動を行うケースは数多くみられました。プロボノは単に労力を提供するのではなく企業やその社員が自らのスキルを生かして、問題解決の一翼を担うことに特徴があります。弁護士やコンサルタントのようなプロフェッショナルがNPOの運営についてアドバイスを提供したり、一般企業がNPOの活動に必要なノウハウを提供したりすることがこれにあてはまります。プロボノの支援を受けることで、NPO団体は社会問題の解決に注力することができます。

こうした活動は支援する側の企業にとっても多くのメリットがあります。従業員のモチベーション向上や能力育成、社外の人的ネットワークの構築、新商品・サービス開発へのアイデア創出、採用活動における企業のイメージ向上などです。

ベイン・アンド・カンパニーでも、多くのNPO法人に無償コンサルティング・サービスを提供しています。私自身の経験や様々なNPO法人の方々から伺った話から、プロボノ活動で結果を出すための5つのコツを紹介します。


① 経営上の目的をはっきりさせる

従業員のモチベーションのためなのか、イメージ向上のためなのか、会社としての目的や優先順位をはっきりさせて社内で共有しましょう。活動内容や取り組み方に一貫性を持たせることができます。全社レベルでのコミットメントがなければ、一人ひとりがプロボノに時間や経営資源を使うことが難しくなり、活動が立ち消えていくことにもなります。

② 支援内容を絞り込む

支援するNPOが何を必要としているのか、また自社の能力がどのように発揮できるのか、支援先と明確に合意することが大切です。特に、自社の「得意技」に絞り込んで活動することが成果を最大化する上で重要です。「とりあえずミーティングに参加しながら、できる範囲でサポートする」というように、曖昧に活動した場合、何も大きな成果が得られないまま終わることとなります。

③ プロフェッショナルな質で仕事をする

プロボノは、自社の持つ能力を十分に生かして支援し、結果を出すことに意味があります。ですから通常の仕事と同じ質で仕事を進める必要があります。これは、自社の仕事の質を世間に評価してもらう上でも重要です。だから会社全体としてプロボノ活動にコミットすることが欠かせないわけです。

④ 活動結果や支援先からのフィードバックに基づいて活動を進化させる

結果に基づいて活動を進化させることはビジネスにおいては当然のことですが、特にプロボノ活動は多くの会社にとって新たな取り組みですので、経験から学ぶことがなおさら重要です。結果をきちんと受け止め、内容は社内外で共有しましょう。良い意味で「質の高い支援をする」ことのプレッシャーにもなります。

⑤ 人材育成・人事評価に組み込む

プロボノ活動は会社にとっても重要な経営目的に対する貢献ですので、意欲的に取り組んで成果を出した従業員を正しく評価することが不可欠です。またプロボノ活動では、普段の仕事より大きな責任を持たせて経験を積ませることも効果的です。NPOのリーダーたちと仕事をすることで、リーダーシップや仕事での能力向上が期待できます。意欲のある若手に活躍の場を与えて、能力を伸ばす機会として積極的に活用すると良いでしょう。


「結果を出す」ことにこだわるというポイントを外さなければ、プロボノへの関わり方に制約はありません。良い社会をつくる、という大きなミッションのもと、得意技を生かしてプロボノ活動にぜひ取り組んでみてください。

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