Press release

ベイン・アンド・カンパニーからの提言 「デジタル全盛時代における製造業の勝ち残り戦略」プレスセミナーを実施

ベイン・アンド・カンパニーからの提言 「デジタル全盛時代における製造業の勝ち残り戦略」プレスセミナーを実施

  • 2024年10月7日
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Press release

ベイン・アンド・カンパニーからの提言 「デジタル全盛時代における製造業の勝ち残り戦略」プレスセミナーを実施

 戦略コンサルティングファームであるベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド(以下ベイン、所在地:東京都港区赤坂)は「ベイン・アンド・カンパニーからの提言 デジタル全盛時代における製造業の勝ち残り戦略」と題したプレスセミナーを2024年10月1日(火)に実施いたしました。

 デジタルの普及に伴い、製造業を取り巻く環境は激変しています。グローバルの先進製造業は、従来のハードウェア主体の事業モデルから脱皮しソリューション開発を強化することで高いリターンを実現している一方、多くの日本の製造業は業界の変化に対応しきれていません。
 業界が変革期を迎えるなか、デジタル全盛時代の新しいスタンダードとしての「クローズドループ型PLM」が注目を集めています。製品ライフサイクルのあらゆる段階でリアルタイムにデータを取得し製品にフィードバックするクローズドループ型の手法を導入する企業では、大幅な納期短縮、新製品の市場スピード向上、研究開発費の削減などを実現しています。
 今回のプレスセミナーでは、知見と経験の豊富な2名の登壇者が、製造業セクターに起こっている業界構造の変化を紹介し、メーカーがデジタルソリューションを成功させる上での一つの処方箋としての「クローズドループ型PLM」を日本企業が導入する上で注視すべきポイントについて解説しました。

 

■スピーカー

パートナー 西脇 文彦

アソシエイト パートナー 田中 佑允

 

キーポイント

  1. 製造業における業界構造変化:
    収益の源泉は、ハードウェアからソフトウェア/サービス・ソリューションへ
  2. デジタル時代の競争優位の源泉:
    顧客基盤をベースとした業界固有の知見を蓄積する
  3. デジタルソリューションの要諦:
    優先顧客を絞り込み、外部パートナーの知見も活用し、顧客単位の悩みに応える
  4. デジタル時代のものづくり:
    複雑な顧客ニーズに高速で応える“クローズドループ型PLM”を導入する
  5. クローズドループ型PLM導入のポイント:
    導入意義とユースケースを明確化するとともに、データ活用の透明性を担保する

 

■ グローバル製造業に起こっている構造変化

 プレスセミナーの冒頭で田中はグローバル製造業で現在起こっている大きな構造変化について解説しました。今も昔も製造業の価値の源泉は「モノをつくること」です。しかしながら、モノにはプロダクトライフサイクルがあるため、黎明期には重宝されたモノも時代の流れで陳腐化し、ハードウェアの付加価値が相対的に低下することは避けられません。必然的に製造業は新たな収益源を確保することを迫られるようになります。このような状況の中、モノからソリューションへ付加価値の源泉が移行しつつあります。先進企業は、従来のハードウェア主体の戦い方から、ソフトウェアやデータを活用したサービスなど、ソリューション領域へ戦略の軸足をシフトしています。モノづくりとソリューションの提供は大きくケイパビリティが異なりますが、先進企業は先手を打ってケイパビリティの獲得に動いています。
 さらに、ベインの分析によると、産業機械バリューチェーンにおける収益源は、ハードウェアから、ソフトウェア/サービス・IoTソリューションへシフトすることが予想されています。将来的に製造業や産業機械企業は、モノ売りだけではなく、顧客の製品から得られる情報を分析する「サービス」や、オペレーションのアドバイスを提供する「ソリューション」に収益源が大きくシフトするとベインは見込んでいます。

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成功するデジタルソリューションの要諦

 続いて田中は、デジタルの潮流の中でいかに企業が競争の源泉を獲得するかの要諦について、ベインの調査結果や分析をもとに解説しました。
 グローバル企業に比べて劣位にある日本企業がデジタル化を進めるうえで陥りがちな3つの罠があります。1つ目は「ソリューション開発自体の目的化」です。今後プロフィットプールの源泉がソリューションそのものに移るにもかかわらず、モノ売りを主目的としたソリューションへ閉じてしまうことは典型的な罠です。次に「全方位総花的サービス」になってしまうことが挙げられます。従来のモノづくりでは、幅広い顧客に対して良い製品を効率的に提供することに重きが置かれていました。一方で、ソリューションを提供するにあたっては、顧客の悩みにピンポイントに答える必要があります。顧客の持つ固有の課題に向き合わず、結果として「痒いところに手が届かない」サービスになってしまうことも罠のひとつです。最後に「サブスケール事業への埋没」です。いきなり大きな投資をするのではなくPOC(概念実証)を社内で繰り返してしまうため、有意なスケールのビジネスに育たないというケースが散見されます。プロフィットの源泉がサービス・ソリューションへ移り変わることを鑑みると、いかにスケールさせていくかを見据える必要があります。
 ベインがクライアントに対して実施した調査によると、「既存の顧客基盤」や「業界固有の知見」がデジタル化を進める上で必要な能力で、総花的なサービスではなく、顧客の固有の悩みをいかに深く理解するかが非常に重要になると田中は強調しました。
 続いて田中は、顧客との関係性を深め顧客中心のソリューションを確立するために必要な5つの要諦を紹介しました。併せてトラクターメーカーから農業ソリューションプロバイダーへと転身を遂げたディア・アンド・カンパニーを好事例として挙げ、ソリューション開発の重要性を再度強調しました。
顧客との関係性を深化させるための5つの要諦.png

 

デジタル時代の新スタンダードとしてのクローズドループ型PLM

 セミナーの後半はスピーカーが西脇へと代わり、デジタル時代における新しいスタンダード「クローズドループ型PLM(プロダクトライフサイクルマネジメント)」を解説しました。
 昨今、労働市場・環境の変化や顧客からの期待値の高度化、コスト圧力という3つの外部変化により、新たな市場環境に対応しうる「ニューノーマルでのものづくり」の考え方が必要とされています。一方で、技術の発展や働き方の変化により、新たなモノづくりのスタンダードが実現可能となりました。このような変化に伴い、アジャイル開発が主流になりつつあります。この動きについて西脇は「従来ではソフトウェア業界で起こっていたが、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせた製造業のソリューションへの適応も広がっている」とし、従来型のモノづくりのプロセスに変化が生じていると指摘しました。ソフトウェア業界では、小さな開発工程に区切り、短期で設計開発テストを回すモデルのアジャイルや開発と運用が一体化したDevOpsといった「クローズドループ型開発アプローチ」が新たなスタンダードとして定着しつつあります。製造業の場合、企画や設計、テストなどのデジタル領域は勿論のこと、運用やデータの監視、フィードバックなどのフィジカル領域にもこのアプローチを適用することができます。クローズドループ型PLMを導入することにより、効率改善のみならず新たな収益モデルの実現にも繋がることがメリットとして挙げられるほか、導入した企業は製品投入スピード加速とコスト低減を両立できていることが調査により明らかになっていると西脇は説明しました。

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ベイン・アンド・カンパニーについて

ベイン・アンド・カンパニーは、未来を切り開き、変革を起こそうとしている世界のビジネス・リーダーを支援しているコンサルティングファームです。1973年の創設以来、クライアントの成功をベインの成功指標とし、世界40か国65都市にネットワークを展開しています。クライアントが厳しい競争環境の中でも成長し続け、クライアントと共通の目標に向かって「結果」を出せるように支援しています。私たちは持続可能で優れた結果をより早く提供するために、様々な業界や経営テーマにおける知識を統合し、外部の厳選されたデジタル企業等とも提携しながらクライアントごとにカスタマイズしたコンサルティング活動を行っています。また、教育、人種問題、社会正義、経済発展、環境などの世界が抱える緊急課題に取り組んでいる非営利団体に対し、プロボノコンサルティングサービスを提供することで社会に貢献しています。

商号  : ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド
所在地 : 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー37階
URL   : https://www.bain.co.jp