Press release

「2023年春、世界高級品市場レポート」を発行

「2023年春、世界高級品市場レポート」を発行

2023年の世界の高級品市場は3,600億~3,800億ユーロの成長見込み

  • 2023年7月5日
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「2023年春、世界高級品市場レポート」を発行

•   2023年の世界高級品市場は5~12%成長すると予測

•   個人向け高級品市場規模は2030年までに5,300億~5,700億ユーロに達し、2020年比で2倍以上に拡大する見込み

•   景気の先行き不透明感から米国市場の成長は鈍化。一方で、欧州市場は観光客の回帰により復調しているものの、2023年後半には状況が変わる可能性も

•   消費者は“less but better”(少数のより良いもの)を求め、時計やジュエリーなどのカテゴリーで高成長を記録

•   ESG関連法規制や生成AI/新たなテクノロジーによるバリューチェーン全体への影響に対応することが中長期的な課題

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ベイン・アンド・カンパニーは、イタリアの高級品メーカーの業界団体であるアルタガンマ財団と共同で「2023年春、世界高級品市場レポート」を発行しました。2022年の個人向け高級品市場は、地政学的緊張やマクロ経済の不透明感の高まりにも関わらず3,450億ユーロに達し、記録的な成長を達成しました。同年の成長率は9~11%で、その勢いは2023年第1四半期でも続いているものの、地域により様相は多少異なっています。

2023年第1四半期にプラス成長を達成した要因は、過度なインフレの段階的な沈静化、欧州の消費者意欲の回復、中国での春節前のゼロコロナ政策の撤廃と国境再開、日本や東南アジアでのインバウンド需要回復などが挙げられます。ただし、米国は景気後退の懸念から成長は減速すると見込まれています。

地域別の傾向: 米国は減速、欧州は上昇、アジアは再編 

米国: 景気の先行き不透明感や新型コロナ救済措置の終了により、消費者は支出を控えています。最富裕層は一定の消費を維持しているものの、内外価格差が大きい商品については海外での消費を増やしています。一方、ブランド品への憧れを持つ層は支出を減らしています。いずれのカテゴリーでも消費者の購入品は主要アイテムや特別な機会で着るドレス・スーツ類、その他フォーマルウェアに集中しています。また、ニューヨークやカリフォルニアなどの高級品消費の代表的都市では売上が回復している一方、ハワイやラスベガスなどの観光地では、復調しつつも2019年のピーク水準には達しておらず、地域によるバラつきが観測されます。

欧州: 第1四半期は、特に高額消費者に支えられて好スタートを切りました。しかし、2023年前半に大幅に増加した米国や中東からの観光客は夏には減少が予測されることから、欧州市場は回復力が試される正念場となります。

中国: プラス成長を記録した第1四半期に続いて年内は拡大する見込みで、ブランドによっては2021年の水準まで回復すると予測されています。

日本:  アジアの中でも有望市場であり、国内消費者による堅調な売上を維持しています。中国人観光客も徐々に戻りつつあり、人気のあるアクセサリーなどの高級品を求めるインバウンド客による押し上げも期待できます(2022年の市場規模は約240億ユーロ)。ベイン東京オフィスのパートナーであるゴヴァース健二は次のようにコメントしています。「世界の高級品市場は力強い成長が予測されますが、地域によって成長スピードは異なります。日本は低迷が数年続いたものの、高級品市場の成長の原動力として頭角を現しつつあります。中国を始めとするインバウンド客の回復は今後の成長を左右する一つの要素であることから、中国人観光客の再来による消費に期待ができるものの、パンデミック中に高級品市場を支えていたのは強い国内消費力であったことを市場は留意するべきです。国内消費者へのアピールを強化することで、インバウンド需要の変動に影響されずに、手堅い成長を見込めるようになるでしょう。」

最富裕層は、高級品カテゴリー全体において引き続き消費意欲が高い

image12mj.png “Less but better”(少数のより良いもの)を求める消費傾向が見られ、カテゴリー全体において「高揚感の追求」が超高級品の売上を後押ししています。特に、時計はトップブランドの定番モデル、ジュエリーは超高級アイテムが成長を牽引し、好調です。バッグの人気定番モデルは資産価値が高いと捉えられていることから、活発な購買に繋がっています。シューズはアジアでブームになっており、スニーカー以外のカテゴリーでも人気が高まる一方、欧米では減速しています。美容カテゴリーでは、フレグランス、メイク・スキンケア用品で成長が見られます。

チャネル別では、実店舗や免税店の売り上げが戻りつつあります。免税店は、東南アジアや日本の活況を背景にようやく回復を遂げつつあります。モノブランドカテゴリーにおいては、店舗で商品を見たいと考えている消費者が多く、実店舗への来店者数増加を背景に、2022年から安定的な成長が続いています。直販もオンラインやオムニチャネル3.0を活用した販売により、堅調な成長を維持しています。

2023年以降の見通し

高級品市場は2023年に3,600億~3,800億ユーロまで拡大し、2022年の3,450億ユーロと比べて顕著な成長が期待されています。

楽観的シナリオ: 中国市場の復調や欧州、南北アメリカ大陸での持続的成長により2023年の個人向け高級品市場は安定的に拡大し、売上成長率は2022年比9~12%の予測

現実的シナリオ: 成熟市場の減速や中国市場の回復の鈍化がカテゴリー全体の成長に大きく影響を与え、高級品の購入にも影響を及ぼす場合、個人向け高級品市場の売上成長率は2022年比5~8%の予測

個人向け高級品市場は上記のような成長ファクターに後押しされて、2030年までに2020年比約2.5倍の5,300億~5,700億ユーロに拡大する見込みです。

中長期的な課題と機会

ESG関連の法規制に対応するため、高級品業界は今後3年間でバリューチェーン上の脱炭素化(スコープ3)が急務となります。 また、生成AIはクリエイティブから流通まで高級品バリューチェーン全体に影響を及ぼし、業界全体に変革をもたらすと考えられています。競合に先駆けて、新たなテクノロジー導入を通じて競争優位性を確保した企業が将来のリーダーとなるでしょう。

 

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ベイン・アンド・カンパニー マーケティング/広報

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