Press release

『ベイン・アンド・カンパニーからの提言 リーマンショックを超える新たな危機への処方箋』プレスセミナーを実施

『ベイン・アンド・カンパニーからの提言 リーマンショックを超える新たな危機への処方箋』プレスセミナーを実施

ベインのパートナーが語る「リーマンショックを超える経済危機」とは

  • 2022年9月12日
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Press release

『ベイン・アンド・カンパニーからの提言 リーマンショックを超える新たな危機への処方箋』プレスセミナーを実施

 戦略コンサルティングファームであるベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド(以下ベイン、所在地:東京都港区赤坂)は、「ベイン・アンド・カンパニーからの提言リーマンショックを超える新たな危機への処方箋」と題したプレスセミナーを9月2日(金)オンラインにて実施いたしました。

■スピーカー

パートナー 石川 順也

パートナー 大原 崇

 

■リーマンショックを超える経済危機を引き起こすのは日本企業特有の「危機慣れ」

 現在日本は、コロナ、ウクライナ問題、円安など様々な破壊的な環境変化の渦中にあります。
 今年8月に行った調査によると*会社に勤めている男女約70%が今後の経済動向はリーマンショックと比較して同等、もしくは当時以上に悪化すると想定していることが分かりました。しかし、回答者が実際に所属している企業でこのような危機に対し積極的に対策を講じている企業は多くないことがわかりました。回答者の約60%が、対策に変化がないと回答しています。
 石川は冒頭、リーマンショックを挟んだ2003年から2016年までの日本企業約3400社に関する名目支払金利前税引き前利益(EBIT)成長率のデータを示し、「リーマンショック時の対応により、企業間の成長率に差が出ている。経営戦略の違いで優勝劣敗が進んでいる」と指摘しました。また、1956年以降の景気後退局面でのインフレ発生と景気後退の相関パターンから、「過去のデータを見る限り、景気後退が迫っている」と強調。特に日本企業については、リーマンショック時とは違い、不利な条件がそろっているとし、さらに、日本企業がリーマンショック後の立ち直りが早かった時と異なり「企業価値成長、グローバルM&A(企業の統合・合併)、危機感醸成と対応という『3つの出遅れ』があるため、勝者として生き残るには経営姿勢の転換が必要」だと述べています。

 

■「国内市場に閉じ込められる」日本企業のホラーシナリオ

 続いて、大原が、前述の「3つの出遅れ」について解説しました。前提条件として、リーマンショック時と現状の日本企業の経営環境について「2022年の危機はリーマンショック時と逆に円安・インフレ局面であること、日本では金融緩和が続き低金利から脱却できていない半面、海外は金利が上昇しつつあるというギャップがある中でのかじ取りが求められること、リーマンショック時は金融業界を除く日本企業の傷は比較的浅かった一方、今回は3つの出遅れを抱えたまま突入しなければいけないこと」等の違いがあると指摘します。
 3つの出遅れについてはまず、2000年から2021年までの日米企業株の変動と日米企業における企業価値のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)マルチプル(複数指標比較)変動のデータから、「日本企業のマルチプルは成長していない。すなわち、市場からの成長期待が相対的に低い」と問題提起しました。
 次に、日本企業側が仕掛けるM&A関連の金額がコロナ禍で減っているのに対し、世界のM&A市場は昨年5割ほど拡大したことを挙げ「M&Aが過熱する中、日本企業は“買い負け”ており、存在感が縮小している。マルチプルが低いこととも相まって、危機を乗り越える武器としてM&Aが使いにくい状態になっている」と指摘しました。
 さらに、「2000年と2021年での国別消費者物価指数の推移(CPI)を見ると日本は2%しか指数が増えていないが、米国は57%、ドイツは37%増となっており、日本のみが物価が横ばいの状況。低成長に慣れきって危機感が薄い状態で危機に突入しようとしている」と懸念を示し、「実際に、足元の物価上昇でも、日本企業は価格転嫁が遅れている」と述べました。

 

■「総負け組化」を予防する処方箋とは

 こうした状況の中、日本企業が生き残るにはどうしたらいいか。石川は「守りと攻めの両面徹底」と、「その両面作戦を可能にする体制作りとリーダーシップ」こそが処方箋になると訴えています。
 守り、とはコスト削減、選択的な価格転嫁、原材料の十分な確保などです。それらを継続しつつ、攻めとして新価値・新サービスの創造、投資、M&Aによる事業ポートフォリオの更新、必要な人材の確保・再教育などとなります。石川は、守りと攻めでは別々のチームが携わる必要性や、守りに力を注ぎがちになることを注意点として挙げ、「構造改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)を駆使し、守り、攻めともに徹底することが必要だ」と訴えました。
 大原は両面作戦を実行するには「企業トップが音頭を取り、差配もし、横串を通す共通テーマも見つけながら、進捗を見える化していけば両立は可能」としています。
 具体的な4つのポイントとして示すと、①CEO(最高経営責任者)の「両面徹底作戦」宣言 ②2つのアジェンダの個別推進体制 ③トレードオフと共通テーマの発見 ④改革スピード・成果達成のリズムを劇場型で回すーとなります。

 

出所:株式会社ジャストシステム(fastask) インターネットによる調査 2022年8月16日~23日20~69歳の会社に勤めている男女 (N=329)

 

【ベイン・アンド・カンパニーについて】
ベイン・アンド・カンパニーは、未来を切り開き、変革を起こそうとしている世界のビジネス・リーダーを支援しているコンサルティングファームです。1973年の創設以来、クライアントの成功をベインの成功指標とし、世界40か国65拠点のネットワークを展開しています。クライアントが厳しい競争環境の中でも成長し続け、クライアントと共通の目標に向かって「結果」を出せるように支援しています。私たちは持続可能で優れた結果をより早く提供するために、様々な業界や経営テーマにおける知識を統合し、外部の厳選されたデジタル企業等とも提携しながらクライアントごとにカスタマイズしたコンサルティング活動を行っています。また、教育、人種問題、社会正義、経済発展、環境などの世界が抱える緊急課題に取り組んでいる非営利団体に対し、プロボノコンサルティングサービスを提供することで社会に貢献しています。

商号  : ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド
所在地 : 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー8階
URL   : https://www.bain.co.jp

 

【ご取材についてのお問い合わせ先】
ベイン・アンド・カンパニー マーケティング/広報 
Tel. 03-4563-1103 / marketing.tokyo@bain.com